編集部のカジュアルウオッチ担当:船平が、実機を見て“コレは欲しい!”と思ったモデルを本音でレビュー。3万円以内の予算で毎週1モデルを紹介していく。第3回は“JAZ(ジャズ)”のクロノグラフをお届けしよう。
JAZ
ジャズ
スモールセコンド、ダイバーズ、スケルトンなど、腕時計の種類はいろいろあるけれど、そのなかでも花形といえば、やはりクロノグラフ。
さすがに日常生活でストップウオッチ機能を使うことはあまりないが、実用性を別にしても、時間表示以外に、インダイアルやクロノグラフ針を備えた計測機器らしいデザインは、いつの時代もメカ好きな男性を魅了してやまない。かくいう私もクロノグラフが大好きだ。
ここ最近、ジワリと人気が高まっているレトロデザインの時計でも、クロノグラフは人気が高く、様々なモデルがラインナップされているが、特に印象的なのが60年代後半から70年代に流行したモータースポーツの影響を受けたデザインだろう。
そのままズバリ、クルマのスピードメーターのテイストを文字盤に取り入れたモデルから、オレンジ、ブルーなど、レーシングカーからインスパイアされたカラフルでスポーティな色使いを採用したものなど、多彩なバリエーションを楽しめる。
今回、紹介する“JAZ(ジャズ)”の“クロノジャズ”も、そんなモータースポーツからインスパイアされたデザインが特徴のクロノグラフだ。
ジャズは1919年にフランスで創設されたクロックメーカー。アイコニックな小鳥のロゴがトレードマークとして知られており、当時のヴィンテージクロックにはいまでも熱烈なコレクターがいるほどその筋では人気が高い。
現在は過去に製造した腕時計の復刻コレクションを展開しており、ここで紹介する“クロノジャズ”も、70年代のヘリテージモデルの雰囲気を再現している。
》デザインの印象は?
わずかにカーブさせたスクエアケース、ケースとデザインを合わせた四角いインダイアルなど、70年代の流行を感じさせるデザインが魅力的。なかでも目を引くのが文字盤だろう。
中心から放射状に筋目を入れたサンレイ文字盤は、外周にタキメータースケールを備え、その内側に赤いアラビア数字でアクセントを加えた分目盛りを配置。分目盛りのアラビア数字に合わせて、クロノグラフ針、インダイアルの針、さらにパンンチング加工した革ベルトのステッチにもアクセントカラーとして“赤”が採用されており、モータースポーツのスポーティな雰囲気が表現されている。
風防はボックス形のプラスチック製。当時の風防に比べると厚みやデッパリ感は控えめだが、こんもりとしたフォルムが独特のレトロ感を醸し出している。
》装着感は?
ラグを入れると縦が約42mm(私が計測)、横が37mm、厚さが約10mm(こちらも私が計測)。
ラグが短めなので、ベルトと手首に隙間が生じにくく、フィット感は良好。手首の中に納まるほどよいサイズ感なので、個性を主張しつつ、見た目のバランスが良いのも魅力といえるだろう。
》ベルトの作りもチェック!
赤いステッチを入れた革ベルトを採用。モータースポーツから影響を受けた文字盤のデザインに合わせて、パンチング加工を施したデザインがスポーティな印象を感じさせる。
ただし、パンチング加工といいつつ、実際には二層構造になっており、穴を開けているのは表面部分のみ。貫通はしていないので、通気性に関しては普通の革ベルトと同じ。裏面にも防汗加工は施されていないようなので、夏場に使用する場合は、汗染みなどに気を付けたい。
【総評】
1970年代のモデルを忠実に復刻したレトロなデザインはやはり魅力。この価格帯の時計は製造コストが限られるため文字盤がフラットな印象になりがちだが、サンレイの装飾、マットなインダイアル、アップライトインデックスを組みあわせて、立体感をうまく表現しているのもすばらしい。
ただし、ひとつ留意しておきたいのが防水性能。裏ブタに“DUSTPROOF(防塵)”と記載されていることからもわかるように、この時計は“非防水”なので、夏場に使用する際は注意が必要だ。
ラインナップを増やしているレトロデザインだが、3万円以下のプライズレンジでは、スクエアケースにスクエアインデックスのツーカウンタークロノグラフはかなり珍しい。手頃な価格でレトロデザインのクロノグラフを楽しみたい人には、嬉しいモデルといえるだろう。
》編集部のオススメモデル
JAZ(ジャズ)
クロノジャズ
1970年代に製造されていたツーカウンタークロノグラフを復刻したジャズの代表モデル。
■Ref. JZ.180-5。SS(37 mmサイズ/金メッキ加工)。防塵(非防水)。クォーツ。2万9160円
文◎船平卓馬(編集部)
【問い合わせ先】
ミルインターナショナル
☎︎03-6915-1455
》JAZ(ジャズ)公式サイト
https://www.jazwatch.com